Q.通関士とは? A.通関(つうかん)とは、輸出入の許可を出す役所である「税関」に貨物を「通す」ことをいいます。 税関は、東京、大阪、神戸など要所要所の港に設置されており、輸出入に関する税金(関税)を正しく徴収したり、危険な取引を未然に防止する役割を担っています。それら港の周辺で、通関士は申告・検査・関税納付・許可といった通関手続きを輸出入者に代わって行う、貿易のスペシャリストです。貨物を輸入する場合、税関に輸入申告をし、検査を受け、関税を正しく計算し支払った上で輸入の許可を受けます。このような輸出入の手続に関する専門家が通関士であり、通関士試験に合格した人が通関士となることができます。 ※通関士として通関業務に従事するためには、試験合格後に勤務先の通関業者の申請に基づく税関長の確認が必要です。 Q.通関士の魅力を教えて下さい? A.通関士は輸出や輸入に関する業務を独占している財務省が管轄している国家資格で貿易業界唯一の国家資格です。 学歴、性別、年齢、経験に関係なく受験が可能です。通関手続きを専門とする通関業者(物流業者、倉庫業者、運送業者、メーカー等)は、原則として営業所ごとに1名以上の通関士を置くことが義務付けられているため、資格に合格すると就職・転職の際に大きな武器となります。 Q.通関士の仕事について教えて下さい? A.営業所に設置された通関士が荷物の内容を確認し、税関とオンラインでつながったパソコンを通じて関税、消費税を計算し書類を税関に提出、輸出入の許可を得るのが一連の通関業務となります。 通関書類(輸出入の際に税関に提出する書類)への審査及び記名押印は、通関士による必要があるため、通常は通関士以外が、他人の依頼により貨物の輸出入申告手続きをすることはできません。 言い換えますと、通関士が意図的に虚偽の書類を作成した場合は、脱税(関税ほ脱)の罪に問われ刑事罰の対象になります。(※不作為で誤った申告をした場合には、修正を行うことが出来るなど 予防措置が整備されています) Q.通関士が、不足していると言われていますが? A.市場は拡大しています。毎年1万人前後の方が受験しており、合格者は1,000名弱です。現在、約7,000名の通関士が通関に関する実務に携わっております。通関士の高齢化など輸出入業者における営業所の数と比較しても不足している状態が続いています。また、アジア圏の新興国との貿易の拡大に伴い、通関業者及びその営業所数は増加傾向にあります。 Q.通関士の知識はどのようなシーンで活用できますか? A.「通関業者」「通関士」という言葉に馴染みがない方も多いと思います。 私達が生活の中で利用している海外から輸入された様々な物(食料・衣服etc)はすべて「通関士」によって税関の輸入許可を受け国内に入ってきているのです。通関士として「通関業者」や「海運・航空・倉庫・物流」といった企業で業務を行うだけでなく、「商社」「メーカー」において海外との取引を行う際の知識など、通関士の知識は様々な場面で活かすことができます。
●通関業者 例えば輸入の場合、輸入を行う企業などからの依頼により、通関業者は税関に輸入申告をし、検査を経て関税を正しく計算して納付、その後、商品を輸入、という一連の業務を行っています。 多くの通関業者は税関のある港や空港の近くに事務所を設置することでスムーズに貿易が行われるよう日々の業務を行っています。
●商社 商社は、海外から多くの商品(貨物)を輸出・輸入しています。 食品を輸入する場合を例にしますと食品衛生法など、輸入する商品によって様々な規制が設けられています。輸入手続には様々な法令が関係して手続に時間を要するため、商社において輸出入手続を迅速かつ効率的に行うために通関士を設置している場合が多く見られます。
●海運・航空・倉庫・物流関連 海外から日本へ商品(貨物)を輸入する際、主に船舶または、飛行機を利用して運ばれます。 そして、通関(税関を通す)手続が終了した商品は、一時的に倉庫業者(保税倉庫といわれる)で一次保管され、各種検査を経てトラックなどで小売店に運ばれます。これらの企業においては荷物の保管の保管のみならず通関書類の処理を一体で行っていることが多いため、通関士を設置している場合が多く見られます。 Q.通関士に寄せられる相談は、どんな事? ●この商品の輸入にかかる関税はいくらでしょうか? 貿易会社は、関税の額を上乗せして市場に流通させるための定価を設定しなければなりません。 たとえば、ある会社が靴を輸入するとします。靴といっても千差万別でビジネス用の革靴、ランニング用のスニーカー、女性のサンダルなど。革、ビニール、ナイロン、コルクといった素材、靴の形、大きさによって納付する関税が異なってきます。通関士は商品の形状を正確に見極め、正しく分類に仕分けし、正確な税金(関税・消費税)を支払うことが任務となります。
●この商品は輸入してもいいのでしょうか? 麻薬、武器、火薬などの危険物、ブランド品のコピー商品、偽造通貨、わいせつ物(児童ポルノ)などは当然のことながら輸入することができません。また、農作物など国内の流通しているものよりも著しく安い価格のものは国内の市場を混乱させる恐れがあるため、輸入することが出来ません。
●「MADE IN USA」?? たとえば、商品に「MADE IN USA」と書かれているとします。通常、USA=アメリカ、アメリカ製と多くの人は認識するかと思います。たとえば、大分県に宇佐市という市があります。ここで生産された商品に「MADE IN USA」と刻印し商品を流通させた場合、多くの方がアメリカ製と勘違いすることになるでしょう。 意図的に、こういった処理がなされたものは、輸入が許可されないものになるでしょう。
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