登録販売者試験は独学でも合格できる?
おすすめの勉強法を徹底解説
登録販売者は、市販されている一般用医薬品(第2類、第3類)の販売を行う資格で、2009年の法改正によって新設されました。薬局やドラッグストアなど、活躍の場が多く、年々需要が高まっています。実務経験や大学での単位取得も不要で、誰でも受験資格があるため、幅広い世代に人気です。そこでこの記事では、登録販売者の資格取得に向けた独学の方法をはじめ、登録販売者試験の出題傾向、効率的な学習方法について解説します。
登録販売者試験に合格するには?
ここでは、登録販売者資格と試験の概要について説明します。
登録販売者とは?
登録販売者とは、一般用医薬品を販売する専門資格のことです。薬剤師と異なり、処方箋をもとに調剤したり、第1類医薬品を販売したりすることはできませんが、第2類・第3類医薬品の販売が可能です。
第2類・第3類医薬品は一般医薬品の約90%にあたり、薬剤師不足の背景からも、これらを取り扱える登録販売者の需要が高まっています。
登録販売者には受験資格もなく、年齢や性別を問わずに受験できます。ドラッグストアや小売店など身近に活躍の場があり、お客さまの健康サポートが地域貢献にもつながると、人気の資格になっています。
試験概要
登録販売者試験は年に1回、8月下旬~12月上旬にかけて実施されます。日時は都道府県によって異なりますので注意してください。合格基準は全体の正答率が70%以上、かつ、各分野の正答率が35~40%以上となっています。都道府県によって合格基準に若干の差はありますが、どの都道府県で受験しても、上の両方の基準を満たす必要があります。
登録販売者試験の合格率は都道府県によって20~60%とバラつきがあり、全体では40~50%です。地方によって受験者数の規模の違いもあり、合格率の差がそのまま難易度の違いにはならないので、参考程度にしておいた方がよいでしょう。なお、試験実施日程がそれぞれ異なるため、同じ年度内に他ブロックでも受験できます。
出題範囲
登録販売者試験は、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」「人体の働きと医薬品」「主な医薬品とその作用」「薬事関連法規・制度」「医薬品の適正使用・安全対策」の5項目から出題されます。
厚生労働省が公開している「試験問題の作成に関する手引き」から出題されるので、こちらもチェックしておきましょう。
登録販売者試験では、登録販売者が扱えない第1類医薬品や要指導医薬品に関する知識も必要で、出題範囲が広いのが特徴です。試験概要の項でも説明した通り、各出題分野の正答率35%以上が合格の基準となっているため、どの分野も満遍なく勉強する必要があります。
独学での合格は可能?
登録販売者試験は独学でも突破できます。ここでは独学のメリットやデメリット、おすすめの勉強方法についてお伝えします。
独学でも合格を目指すことは可能
登録販売者試験は、大学や専門学校などの卒業や単位取得が必要なく、誰でも受験できる試験です。
薬剤師が、薬学部で6年学んでから国家試験を受験することに比べると、登録販売者は資格取得へのハードルが低いといえるでしょう。また、合格率も平均40%程度なので、比較的難易度の高くない試験といえます。
試験までのスケジュールを立てる
試験を受けると決めたら、まずは受験する都道府県の申し込みと受験日をチェックします。そこから逆算して学習スケジュールを立てましょう。
独学の場合、勉強に毎日2時間ほど充てて、4~5カ月くらい必要なことが多いようです。自分のライフスタイルに合わせて、無理のない計画を立てることが大切です。
こんな人は独学に向いている
登録販売者試験を独学で取得するのに向いている人の特徴を2点ご紹介します。1点目は資格取得にかかるコストを最小限に抑えたい人です。資格取得のためにスクールに通ったり、通信講座を受講したりしようとすると、数万円以上かかってしまいますが、独学であればテキストや問題集を購入しても数千円から1万円程度で済ませることができます。
そして2点目は自分で計画を立て、コツコツと学習する時間を作ることができる人です。通信講座やスクールへ通学する場合、時間的な拘束もあり、カリキュラムが決まっています。自分の苦手分野を中心に、マイペースに勉強したい人にとっては、窮屈に感じられるかもしれません。
独学のメリット・デメリット
独学のメリットとデメリットをこちらにまとめました。
独学で勉強する際に押さえるべきポイント
独学で登録販売者試験を受験する場合に、押さえておくべきポイントと勉強方法について解説します。ぜひ参考にしてください。
最新のテキストを準備する
登録販売者試験では、薬機法など法律の改正によって試験内容が変更される可能性があります。必ず受験する年度の法改正の情報が反映されているテキストを準備しましょう。ただし、試験の日程によっては、最新版の発売が試験ぎりぎりになることも多く、試験勉強をする時間が取れないままになってしまいます。その場合は、自分が勉強を始める際に最も新しい版を選ぶようにしましょう。
テキストを何度も読み込む
暗記するべき内容が多いので、準備したテキストは必ず最後までやり遂げるようにしましょう。テキストに関しては、ほぼ同じ内容が記載されているので、1冊準備するだけで十分です。内容を繰り返し学習し、知識を定着させることを目標にすることが大切です。
試験概要の章でも触れましたが、登録販売者試験の合格ラインは70%以上です。なおかつ出題される5項目のうち、1項目でも正答率が35~40%を下回ってしまうと、他の科目が満点だったとしても不合格となります。山を張ったりせず、満遍なく学習していきましょう。
過去問題集を解く
出題傾向をつかむためにも、過去問題集を解くことは合格への近道となります。試験の2カ月前くらいから、過去問題に取り組むことをおすすめします。解いたあとは必ず採点し、不正解の箇所はテキストに戻って復習します。その上で解き直すという流れを繰り返します。
登録販売者試験は知識量を問われる試験であり、暗記することが多いのですが、試験は過去に出題された問題の表現を少し変えたものも多く見られます。少しでも多く過去問題に触れることが、知識の増加や試験対策に有効です。
毎日勉強時間を作る
登録販売者の試験勉強に必要な勉強時間は、250~300時間前後が目安とされています。平日1日あたり2時間、休日1日あたり4時間学習すると、4カ月程度かかる計算です。
仕事や家事に追われていると「今日くらいは休んでもいいか」と思う日があるかもしれません。しかし一度勉強の手を止めてしまうと、暗記してしまったことを忘れたり、ズルズルと学習習慣がなくなったりして挫折しやすくなります。少しでもいいので毎日勉強時間を作り、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
試験勉強の良いパターンと悪いパターン
ここからは、登録販売者試験を独学で勉強する場合に気をつけるべき点とおすすめの勉強方法を解説します。
教材(テキスト)の選び方
テキストはどれを選んでも試験に必要な知識は取得できるようになっています。最新版のもので、自分にとって学習しやすいものを選びましょう。図やイラストが多いものや、カラーのテキストはパッと見て理解しやすいのでおすすめです。テキストは1冊だけで十分なので、途中で投げ出さずに最後までやり遂げるようにしてください。
暗記について
医薬品は、片仮名や慣れない読み方をする漢方薬など覚えづらいものが多く、暗記する内容も非常に多くなっています。覚えにくいときには語呂合わせを使ったり、イラストや図を作ってノートにまとめてみたりするのもおすすめです。
丸暗記しようとすると、効率が悪い上に知識として定着させるのは難しいものです。第2章の「人体の働きと医薬品」で人体の構造を理解してから、第3章の「主な医薬品とその作用」で成分名と成分が薬に用いられる理由を覚えるとスムーズです。
薬機法など丸暗記するものもあるため、ひたすら暗記をするための時間を作ってみてもいいかもしれませんね。
過去問題集の取り組み方
過去問題は最低でも3年分は解いて、傾向をつかみましょう。数年分解いていくと、試験問題独特の言い回しにも慣れることができるでしょう。
また試験勉強が終盤に差し掛かるころには、本番と同じ時間配分で過去問題に取り組みます。本番で時間が足りず、最終問題まで行き着かなかったということがないように、時間内に全問解答する練習をおすすめします。
スケジュールと学習時間
登録販売者の試験勉強に必要な学習時間は、250~300時間前後が目安とされています。初心者でも、250~300時間あればテキスト内容を満遍なく頭に入れて、過去問題にじっくり取り組む時間が取れるのではないでしょうか。
試験勉強に使える時間を1日2時間程度とすると、期間にして3~4カ月前から勉強を始める必要があります。ぎりぎりのスケジュールだと予定通り進まず、挫折の原因となってしまうので、余裕を持ったスケジュール作りが大切です。自分の生活パターン、これまでの知識量などはそれぞれ違いますが、自分自身に合わせて適切なスケジュールを設定してください。
登録販売者試験の対策に必要なのは、重点を置いて勉強を行う科目を見極めることです。最も勉強時間を確保したい科目は、第3章の「主な医薬品とその作用」です。出題問題数もこちらの章が全体の3分の1を占めます。登録販売者の業務上、重要な知識となる「有効成分および副作用」の知識は、特に重点的に取り組みましょう。
また第2章の「人体の働きと医薬品」から学習することで、他の章が理解しやすくなるのでおすすめです。
まとめ
登録販売者試験は、独学でも合格を目指すことが可能です。これまで説明してきたように、独学には「費用が抑えられる」「自分のペースで学習を進められる」といったメリットがあります。一方、効率的な勉強の仕方がわからなかったり、スケジュール管理ができずに挫折してしまったりする可能性があるのも事実です。そのような場合、通信教育などを検討するのも一つの案です。
ヒューマンアカデミーの通信講座「たのまな」の登録販売者合格講座は、3段階のステップで合格を目指します。インプットではわかりやすいテキストに加え、ベテラン講師が解説した講義動画で試験内容の理解を深めます。またアウトプットでは、丁寧な添削つきの実力診断テストやスマートフォンでできる過去問演習などで知識の定着を図ります。
さらに直前期には、模擬試験や直前対策セミナーで、本番に向けた総仕上げを行って着実に知識を固められるシステムとなっています。もちろん、スキマ時間を有効に活用できるeラーニングシステムやオンラインで講師に質問できるなど、サポート体制も十分整っているといえるでしょう。
このように登録販売者合格講座は着実に試験対策を進めることができる効率の良いカリキュラムで、初心者でも一発合格を目指せる内容となっています。忙しくてまとまった勉強時間が取りにくい方や、一人で勉強するのに不安がある方にぴったりといえます。登録販売者の資格取得を検討している方は、通信講座の受講も視野に入れて学習方法を検討してみてください。
<執筆者>
氏名:黒江 佳子
保有資格:診療報酬請求事務能力認定試験/2級医療秘書実務能力認定試験
プロフィール:医療事務員として2018年より総合病院に勤務し、外来部門の受付・会計・レセプト業務を担当。独身時代にヒューマンアカデミーで取得した資格を活かしたいと考え、子育てが落ち着いたタイミングから勤務を続けている。現在は、新人育成にも携わりながら、接遇スキルと医療事務の知識向上のため日々勉強中。
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